おおかみこどもの雨と雪 舞台探訪(聖地巡礼) 花の家&上市編

探訪日:2012/08/19(上市町内)、2012/10/08(花の家)

 この頁では「おおかみこどもの雨と雪」の最もメインの舞台であると言える、「花の家」のモデルとなった古民家について紹介します。加えまして、花の畑のモデルとなった棚田やよく買い物に行く商店など上市町内の舞台も合わせて紹介します。

※「おおかみこどもの雨と雪」の舞台のうち、東京都内各地、自然観察の森のモデル、立山連峰の風景についてはこちらを、小学校のモデルについてはこちらをご覧下さい。

「花の家」

 細田監督が「花の家」のモデルとするに相応しい家を探して全国各地をロケハンする中、自分が生まれた富山県上市町の山奥で、たまたま見つけて一目で惚れ込んだというのが、この築120年になるという古民家です。作中でも人里離れた山奥に位置しているという描写がなされていますが、実際にもそんな感じ。最寄りのバス停から歩いて30分以上、携帯電話も時折漏れ出してくる電波を辛うじて拾えるか否かといった環境に位置しています。周りの山には熊も住んでいるという所まで作中通りですw
 家の管理されているのは山崎正美さん・和子さんご夫妻。現在は上市の市街地に住んでおられ、この家はには定住されていないそうですが、僕が訪問した際にはお二方ともいらっしゃり直接お話を伺うことが出来ました。それによりますと、空き家となっていたこの家ですが、付近を通る登山客などが休憩所などとして自由に使えるように維持・解放を続けていたそうです。そこにある日現れたのが細田監督ご一行。最初は何ごとかと思ったそうですがw、この家を映画の舞台として使わせてくれとの頼まれ、それを引き受け今に至るとのこと。山崎さんのお話によると、細田監督一行は映画の完成までに2~3度ロケハンに訪れて来られたそうです。

 作中の「花の家」はそのようにして作り上げられたわけですが、それだけ丹念なロケハンとそれに基づく設定が作られただけあって、モデルとなったこの家がもうほんっっとそのまんま!現地着いたときそりゃもう大いに荒ぶりましたよww 細部まで詳細に見ていくと映画と現実で異なる部分が有りはするのですが、そんなんどうでもよくなるぐらいに全体的な雰囲気がまさしく「花の家」でした。居間に座って庭の方を見ていると、おおかみ姿の雪がひょこっと顔を出してきそうな、まさにそんな雰囲気。山奥という場所柄他とは隔絶された感もあって、あの家の周りは作品の世界そのものという感じの空気が漂っていました。おかげでなんかそこに居るだけで満足できて、うっかり3時間ほど長居してしまいましたw山崎さんと他の訪問者で囲炉裏を囲んでお話しするって一幕もあったりして、いろいろと楽しい体験が出来ました。

 この「花の家」、映画公開からしばらくの間は、あまりにも山奥で途中の道も普通車ですら離合は困難という状況から詳細な場所はネットでは公開されていませんでしたが、それでも毎日何十人という人が訪れてきていたそうです。僕が行った時点でもネットでは公開されておらず、上市町の観光案内所でのみ詳しく教えてもらえる、という状態だったのですが、それでも3時間居た間に数十人の訪問者が老若男女を問わず続々とやってきていました。家主の山崎さんも遠方からやってきた「おおかみこども」のファンと話すのが楽しいとおっしゃっていて、可能な限りこの山の家へやってきては、探訪に訪れた作品のファンをもてなして下さっています。僕も山崎さんからこの家のこと、監督のロケハンの様子、あちこちからやってきたファンの話などいろいろなお話を聞かせていただいたほか、お昼までごちそうしていただきました。作品の「聖地」に行ってこうして温かくもてなしてもらえるのはファンとしては本当に嬉しいことですね。ありがとうございました!

 なお現在では「おおかみこども」のファンが中心となって「花の家」をサポートする態勢ができあがりつつあるようです。「おおかみこどもの花の家」としてホームページも立ち上がり、近況が随時アップロードされています。場所についても行き方を含めこちらで詳しく紹介されておりますので、そちらをご参照されるのが良いかと思います。
 2015年7月追記:いつ頃からかわかりませんが、Google マップに「花の家」という名前で場所が掲載されるようになっていましたww 公開当初は一旦町のサイト上で公開された位置情報が削除され、現地に行かないと教えてもらえない「知る人ぞ知る」みたいな場所になっていたんですが…それだけ「聖地」として盛り上がったということでしょうかねw

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外観。作中の通りかなり大きな家です。

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家へと通じる小径。

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反対側。雪と雨の登校シーンや、雨が一人山へ向かうときとかに出てくる景色ですね。

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小径を抜けた先。

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右側に納屋を見切れさせつつ母屋全体を写す構図は季節ごとにいろいろ描かれてましたね。

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玄関周辺。家自体が大きいので分かりづらいかもしれませんが、基礎の高さは結構あります。

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反対側から

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庭の全景。ご近所さん大集合のシーンとかこんな感じですかね。

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花壇のあたり。この花壇、僕が行った10月の時点ではこの通り作中よりも小さかったですが、これから作中と同じように真ん中に通路があるほどの大きさにしたい、と山崎さんが話してくれました。どうやら今その計画は着々と進んでいるようです。

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向かって右の側面。「ななめってるー!」の潰れた小屋はこの手前に相当します。監督がロケハンに来た頃には実際にそんな潰れた小屋があったそうですが、今はもうありません。

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庭から見た居間のあたり。これも作中の通り、縁側を大きく開放できるのが特徴です。

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玄関付近から。嵐の前に雨戸を閉めていたシーンとかはこんな向きでしたかね。

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家に向かって左側の壁。電線の取り付け部なども細かく再現された設定画が関連書籍に掲載されていました。

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玄関脇から。

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玄関から見た納屋。山崎さん曰く、柵の本数まで一緒で驚いたとのことw

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引っ越してきてすぐの頃家の柱にヤモリだかトカゲだかが這ってて雨がおののいてるシーンがありましたけど、リアルにいらっしゃいますww

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家に向かって右手奥、花壇の更に裏手ぐらいのところに作中では畑があるという設定。場所的にはこの辺なんでしょうかね。

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納屋の中から。作中同様実際にいろんな物が置かれてます。

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ここからは中の様子。中も戸を全て取り払うとかなりの広さです。

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ここに机置いて韮崎のご夫妻と領収書の整理をしてるシーンとかありましたね。庭先におおかみ姿の雪が出てきそうな構図w

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縁側。作中ではもう少し広く描かれている印象?右端に写ってるショウケースにはおおかみこども関連の諸々が収められていました。

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居間の物入れ。<彼>の免許証が置かれていたのはこの辺のイメージ。

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引っ越してすぐの頃、家中の掃除をしている花が各所に施された小さな装飾に気づいていくシーンがありますが、実際にこの家の細部を見ていくといろんなところにさりげない装飾があることがわかります。ガラス戸も一枚一枚絵入りなのも作中通り。

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桟の配置とかもちょっと凝っています。

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室内だけじゃなく、縁側の窓にもよく見るとそれぞれ違った紋様が入っていて、見てて飽きません。

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囲炉裏部屋。薪ストーブが現役です。雨と雪が大げんかするシーンでは、雪がここを通ってこの奥の風呂場に逃げ込んでいましたが、その位置関係もリアル。

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台所周りは実際の景色と作中でちょっと異なっていました。作中にもあったような古い流しもこの通りありますが、ちょっと位置が違っていて居間は使われていない様子。

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実際の台所はこっち。作中にもある机がちゃんとあり雰囲気はかなりそれっぽいですが、流し周りは近代化されてる感じですかね。作中では台所裏の外に洗濯物が干されていましたが、実際この台所からすぐ裏へ抜けられるようになっています。

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台所全景。奥は囲炉裏の部屋に続いてます。

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最後に玄関から外を見た構図。作品自体が花さん目線なので、雨が旅立っていくシーンとかこの構図はなかなか印象的なシーンが多かったように思います。

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ちなみに玄関にはおおかみこどもの特大タペストリーが飾ってありましたw

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東種の棚田

 韮崎のおじいちゃんをはじめとする、里の人達が作付けをしている棚田とモデルとなっているのは、「花の家」から比較的近い上市町東種地区にある棚田です。花自身が耕した畑自体も多分ここを参考に描かれているのではないでしょうかね?。花たちが買い物へ行くために自転車で走り下りてた道も同じ場所にありました。

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一番上の畦から見下した構図。この日は天気も良く、棚田の先に富山湾と対岸の能登半島まで見渡すことが出来ました。

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同じ地点で横向きに。韮崎のおじいちゃんがやってきそうですw

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下から見上げて。花さんが汗を流しながら耕してたり、その後ろから雪と雨が駆け出してきたりしそうな雰囲気。

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間を貫く道は結構な坂。買い物帰りに花さんは自転車を押して上がっていましたが、相当難儀しそうです。

 2012年10月に「花の家」へ訪問した際、歩いて東種の方へ降りて、棚田を再訪してからバスに乗って上市駅へ戻ろうかと考えていたのですが、その話を山崎さんにしたところ、「そっちの道は更に細くて危ないし距離もあるから」、と言って下さり、なんと直々に棚田経由で車で駅まで送って下さいました……!「花の家」でおもてなし下さったのに止まらずそんなことまでしていただいて本当にありがとうございます…!前の記事で書いた通り、棚田に初めて来た時(2012年8月)も観光協会の方に案内していただきましたし、この作品の探訪では上市の方には本当に色々お世話になりました。

というわけで、稲がだいぶ実を付けていた8月の風景とは違う、稲刈り後の棚田の景色を写真に収めることができました。前の記事と構図的にはほとんど同じ写真ですが、夏とはひと味違う秋の雰囲気を見せていた棚田の風景も合わせて紹介したいと思います。

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前回の1枚目と同じ位置から。稲も刈られだいぶ景色が変わりました。

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前回撮り忘れた「落ち葉もらっていいですかー?」の構図。

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以下いろんな向きで。

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 初回も2回目もこの場所へ来れるとは思っていなかったので、関連書籍から場面カットをピックアップして持ってくるなどの準備は全くしていなかったのですが、この棚田の周りは本当に作中でも忠実に描かれているので、実際の景色を見ることで「なんかこんな構図で映してたシーンがあった気がする!」ってどんどん思い出せる勢いでしたw 純粋に景色としても、海を見渡す斜面に広がる棚田は本当に見事でした。

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商店

 棚田の近くには花が買い物をした店のモデルも近くにあるということで、そちらも2012年8月訪問時に観光協会の方が併せて案内してくださいました。位置関係はわりと作中でも再現されていて、実際に棚田の間を貫く坂道を下りていき、そのまましばらく行った先に相当します。まぁ、買い物のために自転車で往復するにしては結構距離有りますけどねw

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こちらがモデルとなったお店。作中でも自販機とベンチの様子などきっちり再現されているみたいです。

 棚田やこのお店についても「花の家」同様詳しい場所が観光案内所で紹介されていますので、実際に訪れたい方はまず上市駅の案内所へ向かうのが良いのではないかと思います。

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その他上市町の風景

 最後に、棚田へ向かう道中におおかみこどもと直接関係はないけど上市町の見どころも幾つか案内してくださいましたので、併せて紹介したいと思います。

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剱岳をはじめとする立山連峰の山々が一望できる橋。上市から見る剱岳は仏様の横顔に見えるとして、古くから信仰を集めてきたそうです。

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まっすぐ延びる道の真正面に剱岳が見えるスポットも教えていただきました。おおかみおとこの<彼>が持っていた写真の景色もこの近くの田園風景なのかもしれません。

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棚田の近くにある立山寺は樹齢400年に達する並木が有名。並木というと杉が多いですがここは栂(とが)、即ちモミの木の並木道です。ちなみに「たてやまでら」ではなく「りゅうせんじ」と読みます。

 時間に余裕があったら「おおかみこども」スポットだけでない、上市町の名所を巡ってみるのも楽しいかも知れません。

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 「花の家」はここに書いたように作品のファンをいつでも迎えてくれますので、「おおおかみこども」のファンならば是非一度訪れてみることをおすすめします。結構な奥地なので行くのは若干大変だったりしますが、そこまでして行く価値はあると思います!


◆「おおかみこどもの雨と雪」舞台探訪シリーズ
トップページ:概要と国立市周辺、その他都内各地、富山の室堂(みくりが池)、称名滝の紹介と上市町の様子について。
「花の家」&上市編:富山県上市町にある「花の家」のモデルとなった古民家とその周辺について。
小学校編:雨と雪が通った小学校のモデルである富山県滑川市立田中小学校ついて。

更新履歴
初回記入:2013.02.19
一部写真を1ページ目から移動、コメント改稿、サイドバー設置:2015.07.10