鉄のラインバレル 舞台探訪(聖地巡礼)
探訪日:2008/04/02(蒲田)、2011/05/01(出雲)

 秋田書店「チャンピオンRED」で連載中の漫画「鉄のラインバレル」。2008年秋から放送されたアニメ版では「神奈川県三浦市」が舞台と銘打っておきながらも実在する景色は見あたらなかったのですが、原作の方では全国各地に存在するいろんな場所が登場しています。
 メインの舞台は単行本巻末おまけで語られているように大田区周辺。JUDA本社は多摩川挟んで向側の川崎市浮島のその更に先にある新浮島という架空の埋め立て地に有ることになってます。
 この辺については大して特徴のない街並みばかりなので実在するのかどうかは不明ですが、地方の各所については明らかにそれと分かる建物も多く描かれています。
 そのようなモデル地は岩手から長崎・軍艦島まで幅広く分布していて本気で巡ろうとすると大変なことになるのですがw、2011年のGWに山陰の出雲地方を旅行した際、12巻で登場した島根の舞台を撮影してきたので紹介します。
黄泉比良坂
 コミックス第12巻では九条美海が搭乗することになるマキナ「ペインキラー」が発見されたとの情報を元に浩一達が島根までやってきますが、そのペインキラーが埋まっていたのが「黄泉比良坂(よもつひらさか)」。
 この背景のモデルになった場所は島根県の県庁所在地・松江市の隣の東出雲町揖屋(いや)にあります。
 この写真と同じカットは、コミックス第12巻P.56、島根にライブツアー中の美海がアイドルグループ内でのイジメに耐えかねて浩一に助けを求め彷徨い歩いているシーンで登場します。
  •  
     黄泉比良坂。作中に描かれているのと全く同じ形の岩がちゃんと実在していました。

  •  実際はそんなに坂ではありませんでした。

  •  岩の向こう、「黄泉の国」側から。美海さんはこの間を通り抜けたわけですな。
 作中で道明寺が解説していたとおり、この地は日本神話に国造の神として登場するイザナギとイザナミのゆかりの地。
 「古事記」の記述によれば、あの世とこの世の境界=出入り口が「黄泉比良坂」であり、それが出雲国のこの場所に比定されると伝えられています。
 最愛の妻イザナミに先立たれたイザナギは、イザナミに「決して逢いに来ないでください」と言われていたにも関わらず、再び逢いたい一心で黄泉比良坂から『あの世』へと旅立ちます。しかし黄泉の国へたどり着いてみると、美しかったイザナミの体は腐り果て、とても見るに耐えないものとなっていました。驚いたイザナギは『この世』へと逃げ帰ろうとしますが、夫に自分の無惨な姿を見られて嘆くイザナミや黄泉の国の軍勢が追いかけられます。何とか『この世』にたどり着いたイザナギは、そこにあった大岩で『あの世』との通り道を塞ぎ、難を逃れました。この写真に写っている大岩こそが、その時イザナギが通路を塞いだ岩なのだそうです。
 その岩は「道反大神(ちがえしのおおかみ)」または「塞坐黄泉戸大神(さやりますよみどのおおかみ)」と呼ばれ、これが「塞神(さいのかみ)」=「道祖神」の由来になったという説があります。
 
 また、この伝承において黄泉の国は黄泉比良坂を上った先にあるとされており、これが作中でもチラッと触れられてた「黄泉の国は地下であるとはされていない」という根拠になっています。
 
 そんな伝承と作中の展開を照らし合わせてみると、早瀬の名を呼びながらこの大岩の間を抜けて坂を上っていく美海さんってのは「この世」から「あの世」へと向かっていることになりますが……
 普通の人間として暮らす世界を捨ててファクターというある種異形への変貌を遂げることに対する暗喩だったりして。

周辺の様子はこんな感じです。


  •  揖屋駅から黄泉比良坂へ向かう途中の看板。作中でも案内看板出てきますけど、一致はしません。

  •  看板のある分岐点を右に入った先にある坂の入口。民家の隙間っぽい感じですが、ここですw 黄泉比良坂へ通じる道は2つあるのですが、こちらはどちらかというと裏口っぽい経路みたいです。

  •  矢印の先。何か山道っぽくなってますがそんな辛い道じゃないですw 案内板に書かれていた「伊賦夜坂」ってのがこれ。イザナギが大岩で分断した黄泉比良坂の現世側半分がこの道だという言い伝えがあるそうです。

  •  黄泉比良坂の周辺は車も停められる広場になっています。現地には地元で作成された黄泉比良坂の伝説を紹介するプリントも配布されていました。

  •  車が入れる方の道から入ってくるとこんな看板が。「黄泉の国への入口」とか怖いわwww

  •  行きとは違う道を通って駅へ戻ろうとしたら、途中に「揖夜神社」、別名「伊布夜社(いふやのやしろ)」という神社がありました。見た感じただの地元の神社っぽいですが、8世紀前半、奈良時代に編纂された「風土記」には既に名前が記されているという非常に歴史の深いお社でした。そんなのがそこら辺にあるとか、流石神話の国出雲だわ。


出雲ドーム
 美海たちのグループがライブを行った会場のモデルとなった建物はこれ。島根県出雲市の出雲大社にほど近い位置にある「出雲ドーム」です。木造ドームとしては世界的に見ても有数の規模だそうで、1992年の建設当時は世界一といわれたそうです。座席の収容人数は2500人で、スポーツイベントの他作中のようにコンサート会場としても実際に使われているようです。

  •  出雲ドーム。時間が無くて近くまで行けなかったので、一畑電車乗車中に撮影。
 今回紹介するのはこの2箇所だけですが、他にも第47話で浩一達が降りたった出雲空港(現・出雲縁結び空港)や美海と浩一が行った水族館(AQUAS 島根県立しまね海洋館)も実在の景色を元に背景が書かれていました。ただ、水族館は同じ島根県といっても黄泉比良坂や出雲ドームのある松江周辺からだと100kmぐらい離れた場所にあるので、ちょっと行って帰ってくるってような場所じゃないかもしれませんw

東京 蒲田
 ここからは数年前から実は公開していた写真の再掲。6巻の宗美さんエピソードのラストで登場した蒲田の写真です。

  •  蒲田駅前のオブジェ。東口にあります。背後の駅ビルは2008年頭に改修工事が行われ、作中とは見た目が若干変化しています。

  •  キネマ通り商店街。作中で語られているとおり、昔蒲田のこのあたりには映画館がたくさんあったことにちなんで名付けられた商店街です。
 今回紹介するのはこれで以上です。メイン舞台も特定できたら行ってみたいところですし、軍艦島や長崎の造船所(キリヤマ重工のモデル地)なんかも機会があったら是非行きたいですねー。


更新履歴
初回記入:2011.09.23



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